昭和35年版 犯罪白書 第一編/第二章
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/1/nfm/n_1_2_1_2_1_3.html#
3 精神薄弱者の犯罪
一般的にいって,男子では一〇-二五パーセント,女子では五〇-六〇パーセントのあいだにあるとみ
てよい。女子犯罪者中の精神薄弱者の比率は,少年の場合にもかなり高率であったが,成人受刑
者の場合には,いちじるしく高い。

精神薄弱者に特徴的な犯罪は,放火と性犯罪で,欧米諸国では,性犯罪がとくに注目されている。
わが国における唯一の精神薄弱非行少年の専門施設である東京医療少年院の収容者について,
送致の原因となった罪質をみると,性犯罪は,全体としては八パーセント前後で,絶対数はそれほど
多くはないが,数の多い順位からいうと,窃盗,虞犯についで,放火とともに,つねに三,四位にある。
これに対し,一般の少年院の収容者では,窃盗,虞犯,詐欺,強盗,横領などよりも下位にあり,
傷害,特別法犯と前後して,八,九位のところを上下している。全体に対する比率も三パーセント
前後にすぎない。

 一般の性犯罪に共犯(輪姦)が多いのにくらべて,精神薄弱者の場合には,単独犯が圧倒的に多い。
昭和二九年の警視庁の調査によると,猥褻,姦淫四二八人のうち,二六三人すなわち六一パーセン
トが輪姦であったのに対し,精神薄弱の非行少年では,共犯関係は,わずか一五パーセントにすぎない。

精神薄弱者の放火は,叱責に対する報復,不快感情の衝動的解消,幼児的な火悪戯,郷愁性の
放火など,きわめて単純な動機による場合が多いけれども,その結果が社会的に重大な損失をまねく
ところから注目されている。

ふたたび少年院または刑務所に収容された者が三二パーセント,精神病院に入院した者が三パーセント
で,再犯率は,精神薄弱のみについてみると四九・八パーセントとなる。