三島がボクシング観戦してたとき、観客がかなり痛烈なヤジを飛ばし、それを聞いた三島が羨望の念を覚えたという話を古井がしていた。ヤジのえげつなさに、育ちのいい三島には発想も覚束なかったのではないかとの見解。だから小説の中でこの手の罵声の表現となると、どこか自信なさげに「と、つまらない毒舌を浴びせる者がいた」などと切れが悪かったのが思い出される。